「部下が使えない」と思ったら、やるべき2つのこと

部下が使えない
「自分のチームには問題を起こす
問題児ばかりだ。
なぜ、周りに使えない部下しかいないんだ・・・
もっと、自発的に動き提案をしてくるような人材はいないのだろうか」

チームを持ったら、実際にチームの中に入りやってみるまで部下の様子って分かりませんよね。隣の島で働いている人の働きぶりも、その人と向き合って初めて分かるものです。いざ、同じチームで働き始めたら「部下が使えない」と感じてしまったリーダー。

この記事を読むことで、「部下が使えない」という見方に変化が起きます。

先に結論からお伝えすると、
「部下が使えない」と思っているのは、リーダーの物差し一択になっています。

本記事の内容

・「私は見た」職場が変わると評価が変わる現象
・部下を持つという覚悟
・「個」の時代の意識を持つこと。全員一緒はもう古い。

・「個」と向き合う考え方
・まず、簡単にできること

「私は見た」職場が変わると評価が変わる現象

私はキャリアコンサルタントで働いています。
社員が異動した際に、「前職での評価」と「異動後の評価」を知ることができます。

驚くべきなのは、「職場が変わる」ことで、異動した社員の評価が180℃も変わるという事です。

実際の「職場が変わると評価が変わる」の例:

 A君は春に学校を卒業した新卒で、寡黙な若手の社員でした。
合格率9%の難易度の高い資格も1発で合格するような、頭脳明晰な青年です。
専門性が高い職場に配属されましたが、寡黙な故に自分からコミュニケーションをとらなかった為に、積極性がないと思われ職場を異動させられました。
 しかし、驚くべきことに新しい配属先では、A君はみんなに可愛がられ評価が高く活躍したのです。
しかも、その新しい配属先は前職場よりも専門性が高くスピードを要す業務で、挫折する人もいました。そんな中で、A君はひょうひょうと業務を行い、習得して、みんなに頼られる存在となったのです。

上記の例は、「職場が変わると評価が変わる」ほんの1例です。
他にも多分にして、同じ現象が起こるのを私は何度も見て来ました。

お伝えしたい事は、A君は変わっていません。今現在も寡黙な様子は変わっていません。

1つだけ前職場との違いは、

前職場:分からないことは、チームの誰にでも聞いて良い
異動後の職場:分からないことは、B先輩に聞いて下さい

人はすぐに変わりません。変わらないその部下を責めても、自信を失わせるだけで何も良いことはありません。もし、上手くいっていない部下がいたら、「環境や仕組み」を変えることに目を向けてください。そして、「環境や仕組み」を変えることは人を変えるよりも遥かに早く変えることが出来ます。


また、「どんな事でうまくいっていないのか?」を分析するのに役立つのが「傾聴力」です。

国防長官の「話を聞く姿勢」が私に与えた影響は、いくら言葉を尽くしても言い表すことができない。彼の助けによって、私はリーダーとしても一個人としても、劇的に変化することができた。

アメリカ海軍に学ぶ「最強のチーム」のつくり方 マイケル・アブラショフ


偉大なリーダーたちは、正確に「聴く力」と「共感力」を持っています。また、部下の「個」をしっかりと見ており、モチベーションを刺激するのが上手いです。それをすることで、部下はリーダーに信頼をおきます。リーダーが「個」と向き合い、モチベーションをあげることは時間を要します。しかし、時間を投資し、その恩恵を一番受けるのはリーダーになるはずです。

部下を持つという覚悟

リーダーは、部下が自分たちの行動や発言に鋭く反応することを理解しておく必要がある。

アメリカ海軍に学ぶ「最強のチーム」のつくり方 マイケル・アブラショフ

まず、部下を持つということは、覚悟が必要です。
リーダーが発する言葉や態度、ルール作り全てにおいて部下の人生に影響を及ぼしています。

リーダーの考え方や接し方で、部下はそのチームにいることが「天国」にもなり「地獄」にもなります。

 野球界の偉大なるスター栗山監督は、大谷翔平選手を二刀流に育てました。
最初からメジャーリーグを望んでいた大谷選手だったので、当時の考え方だとピッチャーでいくかバッターでいくか絞る必要がありました。しかし、大谷選手の両方素晴らしい才能を見込み、二刀流の方向で練習をさせたのです。そう決めた時、栗山監督は「怖かった」と言っています。相当なプレッシャーを抱えながら指揮をしてきたのです。その結果、類まれなる世界の大谷選手が誕生したのです。

上に立つ人は、生半可な気持ちで部下を評価するべきではないのです。
「部下が使えない」という考えは、「部下と向き合うのをやめた」という考えと同じです。

エリオットには、基本的な問題があった。そのやさしそうな容姿と、おとなしい性格だ。自信がなさそうに見え、それだけで見くびられ、いじめられてしまうのだ。
私は彼に対して、ベンフォルドの乗組員たちは、全員がチームの結果を最優先し、団結して働いているのだと告げた。彼が自分の力を信じるように手助けすることで、私は新たな一人の優秀な部下を得ることになった。

アメリカ海軍に学ぶ「最強のチーム」のつくり方 マイケル・アブラショフ

この引用は、著者が「海軍で一番下のダメ軍艦」とレッテルを貼られていた艦に新任艦長として乗り込み、同じスタッフ構成のままでありながら、短期間で「全米一」と評価されるほどの優秀な艦に立て直した方法が語られています。

「個」の時代の意識を持つこと。全員一緒はもう古い。

少し話がずれますが、今小学校の体育の授業でもICTを活用し、個人に合わせたやり方を実施し目標をクリアしていく学校も出てきています。特に、体育は「出来る」と「出来ない」の差が個人により大きく出てしまう教科です。できない子はずっとできないまま終わり、すごく悲しい思いのまま授業が終わります。ICTを活用し、自分自身が設定した課題に向かって取り組んで、1個ずつ階段を上がっていくのです。

例えば、「持久走」でも他人と競うのではなく、自分が無理なく走れるペースで走り続けるのです。ICTの活用では、心拍数を測定するハートレートモニターという装置を導入。体力向上に適切とされる運動量は最大心拍数の70~80%とされているということで、生徒たちは、適切な心拍数を維持しながら一定のペースで走ることを目指します。

もう、「出来る」と「出来ない」に線引きする時代は終わっています。できないのであれば、なぜ出来ないのか?を考え、対策を練っていく時代です。

「個」と向き合う考え方

丸い釘は丸い穴に

「職業の選択」 パーソンズ

これは、職業選択の父と呼ばれるアメリカの学者パーソンズの理論です。

丸い釘は、丸い穴だと何も無理せずすっぽり刺さります。
「個人の能力や興味思考」も、「職業の特性」とはまれば、すっぽりマッチングするのです。

①個人の適正・興味・能力を見極めること
②チームでの業務は多岐の種類があると思いますが、仕訳する
③能力と業務の種類をマッチングさせる

個人の適正・興味・能力を見極めるオススメ検査:VPI職業興味検査

対象者: 短大生、大学生以上。
所要時間: 採点時間を含めて15~20分程度。
特徴: 160個の職業名に対する興味の有無を回答。実施・採点はカーボン形式で簡便。

https://www.jil.go.jp/institute/seika/tools/VPI.html

また、現在はとどまることなく移り変わる環境に対応していける「個人」の意識確立が大切です。
これを「プロティアン・キャリア」と言い、キャリアコンサルタントとして今の時代に合わせて意識しています。プロティアン・キャリアは個人の能力を引き出します。

「プロティアンキャリア」
主体:個人
価値観:自由、成長
重要なパフォーマンス側面:心理的成功
重要なアイデンティティ側面:自分は何がしたいのか
評価:主観的

まず、簡単にできること

リーダーになったら、下記2つを実施することです。

①部下と面談し、個人の特性・興味を傾聴で聞くこと
・出来ないというネガティブな理由も個人を知るきっかけになります。
・出来るというポジティブな理由も個人を知るきっかけになります。
②達成することが出来そうな目標を設定すること


※周りからの事前に入ってくる噂などの色眼鏡はとりましょう。
リーダーが自分の目で見ることが大切です。

面談に時間を割くことは、時間を要しますが、後にこの時間がリーダーにリターンする日が来るでしょう

遅咲きの人、早咲きの人、色んな人がいます。
綺麗な花が開くまでに時間がかかる場合も多いですが、部下を信じ根気よく接します。
そうすれば、徐々にリーダーへの信頼が構築され、チームが創造的になるでしょう。

それでは、本日はこれで終わりになります。